書籍への想い 原 裕

1961年に生まれ、1984年に社会人として最初のキャリアをアメックスでスタートさせた私は、その後J.W.トンプソン、メンバーズと三社を経験してきたが、いづれも営業・マーケティングに従事して多くの経験を積むことができた。本書でも取り上げたマーケティング3.0の流れを体験できる貴重な経験をすることができた。また、リアル・バブル、神戸震災、ITバブル、リーマンショック、東北震災、そしてコロナウィルスという、経済環境の変化、自然災害も経験し、今に至っている。

外資でマーケティングを、日本のベンチャーでITを学び・実践し、多くの先輩や同僚、クライアント、ビジネス・パートナーとの出会いでマーケティングの素晴らしさや、楽しさ、苦しさを学び、絶えず変化し続けることの重要性も学んだ。

この7年は、それらの経験やスキルを活用して社会課題を「マーケティング」で解決し、ビジネス成果と社会課題解決成果を生み出すことに専念してきた。なぜか?その答えが本書になる。ひとりのマーケターとして消費を刺激し、促進する活動に従事してきたが、東北震災での圧倒的な無力感の中、メンバーズ役員で自社のあり方を考え直した時に、社会課題を解決できない企業に存在意義はないということに行き着いた。その後3ヶ月で仙台にオフィスを作り、3人からスタート、いつの日か仙台をデジタル・マーケティングの先進地方にするんだとの意志ではじめ、今では200人以上のスタッフが働いている。地域の雇用を産むのと同時に我々のビジネスの要にもなっている。そして、デジタル・マーケティングであるにもかかわらず、クライアントに社会課題解決とビジネス成果を掛け合わせた提案を行い、少ないながらもいくつかの事例ができ、本書でも紹介させていただいている。不思議なものでこの考え方を経営のど真ん中(=パーパス)に据えて依頼、それまでの綱渡りのような業績だったのが、安定して成果を出し続けられるようになり、お陰で東証1部に場替えできるようになった。

このアプローチは「短期的な」ROIが再重要視される(デジタル)マーケティングのなかではなかなか受け入れにくく、そもそもCSRとの違いすら理解いただけない場合が多かったが、SDGsの登場以来徐々に共感をいただけるようになってきた。しかし、より一層このアプローチを広げていきたいとの想いは募るばかりで、そんな時共著水野さんとの話のきっかけで書籍を作ろうということになった。

共著の水野さんは私の師匠であり、ここ数年大変に刺激を頂いている。水野さんには私が責任者を勤めていた子会社のエンゲージメント・ファースト社(2020年4月よりメンバーズのCSV担当部署に)の取締役をお願いしていた。定期的にこの課題について議論させていただき、世代的にも考え方も、そして音楽の嗜好(笑)が一致しており、ビートルズのジョン&ポールのように一緒に曲(=書籍)を書こうということになった。そういう二人の想いを込めて、多くの方に読んでいただけるよう、なるべくわかりやすく、事例を多く掲載するようにこころがけた。編集を担当してくれた岡氏がいなければ成り立たなかったと思う。

プロジェクト名は「イマジン」、言うまでもなくジョン・レノンの名曲であり、二人がこよなく愛する曲で、この山積する社会課題をマーケティングで解決することは簡単ではなく、むしろかなりの難易度であるが、その先の世界を想像し、創造しようという意志を込めてプロジェクト名に頂いた。

そんな想いが少しでも多くのマーケター、ビジネスパーソン、そしてこれからビジネスを行う若者に読んでいただき、一歩も二歩も踏み出していただければ幸いです。

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